布素材の後加工について

お世話になっております。大型出力屋でお客様対応をしております西川です。
大型出力屋といえば…等身大パネルや紙素材ポスターなどの商品を想像される方も多いのではないでしょうか。しかし…ポスターやパネルだけではございません！
布商品も人気が高く、たくさんご注文をいただいております。
ということで、今回のブログでは「布素材の後加工」についてご紹介させていただきます。
商品のご選択の際、少しでも参考になれば幸いです。

1. 布素材について
2. 後加工の種類・仕上がりについて
3. ご利用シーン
4. 納期について
5. まとめ

1.布素材について

後加工についてご説明させていただく前に、「布素材」について簡単にご紹介いたします。
今回は、よくご注文をいただく5種類に厳選してご紹介させていただきます。
※大型出力屋で取り扱っている布素材は全てポリエステル生地で「昇華転写」という方式で印刷をしております。
「昇華転写」に関する詳しい内容は下記のブログをご参考ください。
https://www.ogata-print.com/blog/1866/

■トロマット

布素材の中で一番ご注文が多い素材がトロマットです。質感や仕上がりの風合いは「トロピカル」や「ポンジ」と似ておりますが、耐久性に優れております。
小さく折りたたむことができるため扱いやすく、持ち運びや収納に便利です。
※長時間折りたたんだ状態にしておくと折り皺が入ることがあります。予めご了承ください。
 
「タペストリー」や「バックパネル(バックボード)」「テーブルクロス」に適した素材となっております。

■トロピカル

トロマットと比較すると耐久性はやや落ちますが光を通しやすく、透け感があります。質感や仕上がりの風合いは「トロマット」「ポンジ」と似ております。
本素材も小さく折りたたむことができるため扱いやすく、持ち運びや収納に便利です。
※長時間折りたたんだ状態にしておくと折り皺が入ることがあります。予めご了承ください。
 
「タぺストリー」に適した素材となっております。

■ポンジ

弊社が取り扱っている布素材の中で一番薄手の素材です。軽くて薄いため風によくなびきます。質感や仕上がりの風合いは「トロマット」「トロピカル」と似ております。
※長時間折りたたんだ状態にしておくと折り皺がはいることがあります。予めご了承ください。
 
発色がよく透ける特徴もございますので「のぼり」に使用されることの多い素材となっております。

■5号帆布

キャンバス素材のような質感が特徴です。固く頑丈ですので耐久性があります。
「横断幕」や「暖簾」に適した素材となっております。
※折り目がつく状態で強い圧がかかると、折り皺が入ることがあります。
※素材が繊細なため、帆布特有の擦れ跡が生じます。

■撥水布

特殊耐久撥水加工がされた素材です。トロマットと似た質感で、布素材の中では特に丈夫です。
水を通さない「防水」加工が施された布素材ではなく、水を弾く「撥水」加工が施された布素材です。
屋外での常設というよりは持ち運びが多く、設置・撤去を繰り返す用途にはおすすめです。
※経年劣化により撥水機能は徐々になくなっていきます。予めご了承ください。

2.後加工の種類・仕上がりについて

それでは、本題の「布の後加工について」ご説明いたします。
今回のブログでは、後加工を「カット」「縫製」「その他」の3つに分けて加工方法と仕上がりについてご紹介させていただきます。
「カットの断面」や「縫い目部分」など、それぞれどのような仕上がりになるのか、ご参考ください。

①カット

まず、どの布商品にも必ず施される加工がカットです。
弊社では、布に合わせてカット方法を変えております。
カット方法は2種類です。

※印刷の際の伸び縮みでカットサイズに若干の差異が生じる可能性がございます。

ヒートカット

高温のカッターで熱によって生地を溶かしながら切る方法です。
切断時に、生地が溶け再び固まるため、端部のほつれ防止処理にもなります。
トロマット・トロピカルのカットにはヒートカットを使用しております。

超音波カット

振動による摩擦熱で、樹脂などを溶かしながら切る方法です。
厚手スエード・サテン・帆布・撥水布のカットには超音波カットを使用しております。
 
カット断面は以下のような仕上がりになります。パッと見では2種類の違いはわかりません。

②縫製

次に、カット後に行う縫製です。
縫製が必要な商品には、以下のような加工を施しております。
※表面に見える縫い目部分は、透明の糸で縫製をします。
(デザインの色味によっては近似色(黒or白)の糸で縫製する場合もございます。)
※サイズに若干の差異が生じる可能性がございます。

周囲縫製(三巻)

カットした布の周囲を三つ折りにしてから縫製し、補強する加工です。
折り返しの縫製になるため、ヒートカット・超音波カット加工による切りっぱなしに比べて、ほつれにくく強度が増します。
長期間でのご使用や、耐久性のある仕上がりをお求めのお客様におすすめの加工となっております。

幅継ぎ縫製

複数枚の布を縫い合わせて、1枚に仕上げる加工です。
布の最大印字幅の関係で1枚ものでは出力が不可能なサイズであっても、複数枚に分けて出力し、幅継ぎ縫製を施すことで、大きなサイズの商品が製作が可能になります。幅継ぎの位置はデザイン上で目立たない場所にすることも可能ですので、ご希望の際はご相談ください。
弊社の商品では、「バックパネル(バックボード)」で必ず幅継ぎ加工が行われております。

デザインによっては、幅継ぎ部分に若干の柄ズレが生じる可能性がございます。
製作実例：https://www.ogata-print.com/work/work_category/back_panel/

引きで全体を見た時の幅継ぎ位置がこちらです。
上下共に市松模様の4段目の位置で幅継ぎ縫製を施しております。

袋縫い

商品にパイプ(棒)を通して吊り下げることができるように、布を折り返して縫い、袋状に仕上げる加工です。(パイプ・紐はオプションで購入可能です)
お客様でご用意されたパイプに合うように、袋幅を調節することも可能です。
※ご使用予定のパイプの直径を事前にご連絡ください。

袋幅のサイズについて
・スチールパイプ(直径25㎜)の場合：袋幅50㎜
・塩ビ丸パイプ(直径18㎜)、塩ビ割パイプ(直径18㎜)の場合：袋幅35㎜
・お客様がご用意されたパイプをご使用の場合：パイプの直径をご連絡ください

マジックテープ縫製

マジックテープを布裏面に縫い付ける加工です。基本的には「メス(ふわふわした方)」を布面に縫い付け、「オス(チクチクした方)」とくっつけてお使いいただく仕様となっております。「オス」と「メス」を貼り合わせることで、貼り剥がしが可能になります。こちらの加工は主に「バックパネル(バックボード)」で使用されております。

マジックテープ縫製した部分を表から見ると以下のような仕上がりになります。

③その他

大型出力屋では、「カット」「縫製」以外にも布商品に施している加工がございます。

裏レザーハトメ

紐を通すことができるように、金属製のリングで補強しながら穴をあける加工です。ハトメが取れてしまわないように裏面にシールタイプのレザーを貼り付けてから穴をあけております。
ハトメの数や打つ位置、紐の長さ等はご希望に合わせて変更が可能です。ハトメの位置や個数に指定がある場合は事前にご連絡ください。

※ご指定がなくお任せの場合は、周囲に約500mm間隔でハトメを加工いたします。。
※ハトメ１ヶ所あたり200円(税別)になります。

※写真は周囲縫製も施されております。
※4辺切りっぱなしの状態に、ハトメ加工をすることも可能ですが、耐久性が下がってしまうため、周囲縫製加工を追加いただくことをお勧めしております。

3.ご利用シーン

■ピアノ教室の装飾

こちらはタペストリーです。
上下が袋加工となっており、袋加工部分にパイプを通して、紐やフックで上から吊り下げていただく仕様となります。
横幅から巻いて細長く収納ができ、持ち運びがしやすいので、お店の看板やメニューをはじめ、展示会やイベントの装飾にもおすすめです。

※タペストリーの吊り下げ方法について詳しくは
https://www.ogata-print.com/blog/2773/(こちら)をご確認ください。
■会見

こちらはバックパネルです。
会見、インタビュー、イベントステージ装飾、展示会ブース等背景の装飾をする際におすすめです。

※バックパネル(バックボード)について詳しくは
https://www.ogata-print.com/blog/3733/(こちら)をご確認ください。
 

4.納期について

「布素材の商品」は「紙素材の商品」と比較すると、出荷までに少しお時間をいただいております。
通常５～8営業日後の出荷となりますが、ご希望商品のサイズや枚数によって変動がございます。予めご了承ください。

タペストリー：トロピカル【W900×H1500mm】×３部

ご注文とデータのご入稿をいただいてから、通常5営業日後の発送

バックパネル：トロマット【S袖なし】×2部

ご注文とデータのご入稿をいただいてから、通常5-6営業日後の発送
 

5.まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「布素材の後加工」についてご紹介させていただきました。
少しでも疑問が解消されましたら幸いです。
ご検討いただく際、お見積りのご希望やご不明点等ございましたらお気軽にご連絡ください。