大型出力屋の印刷・後加工技術
2020.11.16
こんにちは、「大型出力屋」大判プリント担当の竹澤です。
これまで、ラテックスインクと水性顔料インク、消化転写の印刷に関して、書かせていただきました。過去の記事は以下からご覧いただけます。
今回は、ターポリン素材の印刷で使用する「溶剤インク」の印刷方法と特徴、印刷機の強みをご紹介します。
大型出力屋の保有する溶剤インクジェットプリンターはOKI社「OKI ColorPainter H3-104s」シリーズです。
保有している対応メディア(印刷素材)は、
スタンダードターポリン・エコノミーターポリン・メッシュターポリン(粗目)・メッシュターポリン(細目)の4種類です。印刷の最大幅は素材によって異なり、
・スタンダードターポリン 2480mm(対応メディアでは最大幅です)
・エコノミーターポリン 1500mm
・メッシュターポリン(粗目・細目) 1800mm まで印刷ができます。
このプリンターを使って作られる商品は、主に屋外用の「ポスター」、「タペストリー」、「幕」、「バナースタンド」があります。
・インクが素材の中に浸透し、濃い印字ができる
・耐候性に優れ、雨に強い
・大型出力屋は低溶剤インクを使用し、環境にやさしい
溶剤インクの1番の強みは高い耐候性です。
溶剤インクは溶剤と顔料を混ぜたインクになります。
水性インクはメディア表面にインクが乗り色が付くのに対し、溶剤インクはメディア表面を溶かして、その中にインクを浸透させ着色します。
屋外の雨風や直射日光の環境に強く、長期間の使用が可能です。
屋外に常設した場合の使用期間の目安は2-3年です。
大型出力屋が保有している出力機は6色インク(C,M,Y,K,Lm,Lc)に加え、
グレーインクも使用しています。
そのため単色黒のグラデーションや、人肌などの滑らかな表現にも強いです。
また、メディアに深くインクが浸透することで、くっきりとした濃い色の印刷となり、
設置場所が人から遠くても、見やすいのが特徴です。
そのほか、広い色調領域、高い発色性を持っています。
溶剤と聞くと、特有の臭気や、人体に害を与えるインクという印象を持つ方が多いと思います。一般的に使用される溶剤インクは有機溶剤と呼ばれ、上記のデメリットを持つものもありますが、大型出力屋で使用しているインクは、有機溶剤には該当しない、低溶剤インクを使用しています。
人体への影響や臭いが比較的少なく、環境に優しいインクを使用しており、お客様に安心してご使用いただけるよう、配慮しています。
実際に、溶剤インクの出力機を使って説明します。
メディアを取りつけ、印刷を実行します。
メディア表面に、溶剤インクが乗ります。
機械手前の底部分がヒーターとなっており、50℃の温度で有機溶剤成分を揮発させます。
印刷速度は、1平米約5分程度で印刷されます。
溶剤インクは、他のラテックスインクや顔料インクと比べると、印刷後、完全にインクが乾ききるまでに時間がかかります。
カットや、横断幕にするための縫製等後加工は、1日ほど時間をおき、完全にインクが乾燥してから行います。
溶剤インク印刷の仕組みと特徴について説明しました。
まとめると、
・インクが素材の中に浸透し、濃い印字ができる
・耐候性に優れ、雨に強い
・大型出力屋は低溶剤インクを使用し、環境にやさしい
これらのメリットから、溶剤インクを使用した印刷物は
長期間使用する屋外用の幕やタペストリーなどに適しています。
そして大型出力屋では環境に配慮した低臭気で無害なインクを使用することで、
溶剤インクのデメリットである臭気・有害物質の発生を抑えています。
溶剤系インク特有の高耐候性を維持しながら、お客様にも、環境にも
安心・安全にご利用いただける商品をご提供しています。
過去の記事で、溶剤インクを用いて印刷している「屋外用幕」について掲載しています。
・「第一回 屋外用幕とは」
・「第二回 屋外用幕とは」
商品の設置事例や加工方法を詳しく知りたい方は、そちらも合わせてご覧いただければと思います。
「大型出力屋」では様々な印刷物をご提案しています。弊社での印刷をご検討中のお客様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。